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口頭発表Ⅰ
O-1-2
視覚ダイナミックレンジ計測法の開発

○仲泊聡、清水朋美、林知茂
国立障害者リハビリテーションセンター病院

【目的】
視覚ダイナミックレンジの簡便な計測法を開発し、健常者と羞明のある患者の比較を行うこと。

【方法】
PC等のモニター上に提示した白から黒のグラデーションからなる長方形の「真っ白」または「真っ黒」に見える部分と真っ白でも真っ黒でもない中間領域との境界をクリックまたはタップで決定する課題により、一見して変化のわかる明るさの範囲(視覚ダイナミックレンジ)を計測する手法を開発した。今回、提示装置にiPad(iOS9)を用い、健常者10名の明室(1200~1700lx)と暗室(0.3~1.7lx)での測定および羞明を訴える患者4名の明室での測定を行った。
また、患者では室内用の遮光眼鏡を使用している1名に、それを装用している場合としていない場合について測定を行った。刺激は、暗背景(9.5cd/m2)、中間背景(68.4cd/m2)、明背景(202cd/m2)の3条件で擬似ランダムな順で総計42回提示された。結果は、背景ごとに最大、最小値を除外した残りを平均して表示した。

【結果】
健常者の結果において、真っ白でも真っ黒でもない中間領域は、暗背景、中間背景、明背景のいずれにおいても82%内外であり、暗室では明室よりも白判断の占める割合が大きかった。また、両照明条件において、白判断は、暗背景では明背景よりも大きい傾向がみられた。患者データについては、総じて中間領域が狭く、遮光眼鏡によってこれが拡大する例が存在した。1回の測定に必要とした時間は、健常者では50~127秒、患者では32~180秒であった。

【考察】
羞明のある患者では、遮光眼鏡による眼入射光量の適正化により、視覚ダイナミックレンジが改善することが予想できる。

【結論】
我々が開発した視覚ダイナミックレンジの簡便な計測法により、羞明のある患者の中間領域が狭いことが示された。遮光眼鏡の選定の補助として本測定法が有用である可能性が示された。

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