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口頭発表Ⅰ
O-1-3
高次脳機能障害における小児同名半盲例の視野評価としての光干渉断層計の役割

○羅錦營
羅眼科、帝京大学視能矯正学科

【目的】
脳内疾患による同名半盲と黄斑部の網膜神経節細胞の逆行変性について病理学的には既に知られている。小児の同名半盲と黄斑部の網膜神経節細胞の逆行変性の対応関係を光干渉断層計(OCT)による神経節細胞複合体(ganglion cell complex:GCC)が視野検査の代わりになるかの研究報告がないため、5症例の脳内病変の同名半盲とGCCパターンについて報告する。

【方法】
2012年から眼科外来にて高次脳機能障害を示す患児のなかでGoldmann視野計測(GP)のできた脳内疾患を有する患児に対してSD-OCTを用いて黄斑領域のGCCを評価し、GPのできない患児に対して、短時間で検査できるGCCの有用性を検討した。
症例1.13歳男子:左片側性巨脳症とてんかんのために左大脳半球切除術を受けた。右同名半盲のため、プリズム眼鏡の装用中であるが、OCTのGCC所見は半盲視野との対応が見られた。
症例2.15歳女児:Sturge-Weber症候群の右大脳低形成に伴う左同名半盲。右眼の緑内障を伴い、視神経陥凹萎縮を示した。
症例3.12歳女児:7歳に右大脳側頭葉の動静脈奇形による出血後後遺症として、左同名半盲と外斜視が認められた。
症例4.8歳女児:生後4ヶ月に右中脳海綿状血管腫のため、2回開頭手術を受けた。外斜視と垂直注視麻痺に左の半身麻痺が認められた。視野は左同名半盲、矯正視力は右0.1、左1.0。
症例5.9歳男児:3歳に頭蓋咽頭腫の手術後に右の視索障害による左同名半盲。
同名半盲5症例に対して電気生理学的検査と核磁気断層、GP及びOCT検査を施行した。

【結果】
各種脳疾患のOCT検査ではGCCの菲薄化が網膜黄斑半分の半盲対応部に著明に認められた。
視神経周囲の網膜神経線維層計測よりも黄斑部網膜神経節細胞の局在欠損を示すGCC計測の方が明瞭で確認容易である。

【結論】
網膜神経節細胞の逆行変性は小児の脳内疾患の同名半盲症例にも認められた。非協力的な高次脳機能障害小児の視野検査の困難さから、迅速に測定できるOCTのGCCの菲薄化検出は小児視野欠損の検出には非常に有用なツールと思われる。

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