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口頭発表Ⅰ
O-1-4
盲ろう者の理療就労に関する研究

○高橋忠庸、浮田正貴、伊東和之
国立障害者リハビリテーションセンター

【目的】
我が国における盲ろう者の人口は、平成24年の実態調査により、約1万4千人とされ、そのうち、労働年齢である18歳以上65歳未満の割合は2,490名(17.8%)である。平成16年度の全国盲ろう者協会の調査によると、過去の職業として、理療師18%、会社員43%、現在の職業として理療師11%、会社員4%である。この結果は、理療師が盲ろう者の職業として有力且つ継続性が高いことを示している。そこで、本研究では、盲ろう者の就労の中で高い割合を占めている理療師に焦点を当て、支援から雇用の状況、盲ろう当事者の立場から把握することで、就労に向けての配慮や課題点を明らかにすることを目的とする。

【方法】
予備調査として、理療就労している盲ろう者並びに盲ろう者の関連施設の職員から面接による聞き取り調査を実施することとした。対象者は、男性理療師1名(A氏)と、施設職員1名(B氏)とした。調査項目は、(1)就職するまでの経緯と支援の実態、(2)就労先での工夫や課題とした。

【結果】
A氏の面接から、就労の条件として、環境面ではパソコンなどコミュニケーション手段が確立していること、通勤など移動における手段を持っていることが挙げられ、施術面では、患者とのコミュニケーションにおいて非言語的な合図を決めること、突発的な問題に対応するためのサポーターが近くにいることが見出された。また、B氏からは、理療の免許取得までの支援や工夫は個別性が強いことが挙げられた。

【考察】
予備調査結果から、盲ろう者の理療就労時から今日までの試行錯誤や周囲からの理解を獲得していく過程には、多くの支援上の課題が含まれていることがわかった。また、それらは多方面に亘って複雑に絡み合うため、未整理且つ個別的な問題として留め置かれるケースがあることも示唆された。

【結論】
理療就労の盲ろう者の詳細な実態を、共有し得る資料にまとめていく必要があり、今後、本調査を実施することとする。

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