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口頭発表Ⅰ
O-1-5
当事者、福祉従事者、医療者による小学生の「視覚障害理解の学習」講演についての評価

○稲垣理佐子(1)、菅原純一(2)、鷲山愛(1)、山城ウエンディ(3)、斯波千秋(3)、堀田喜裕(1)、佐藤美保(1)
(1)浜松医科大学眼科、(2)雄踏町医師会菅原眼科、(3)NPO法人六星ウイズ半田

【緒言】
平成19年から平成27年の9年間に年1回、地域の小学校4年生約150名に当事者、福祉従事者、医師、視能訓練士が各々の立場から、「視覚障害理解の学習」の講義と体験学習を行っている。
多職種が関与した講義と体験学習で、幅広い観点からの知識の習得を目的としている。

【目的】
多職種が様々な角度から行った「視覚障害理解の学習」講義の感想文からこの講義の効果を検討する。

【方法】
担当教員より提供された自由記述の感想文を「知識の習得」「体験により得た気づき」「視覚障害者のイメージ」「行動への意欲」に分類し、記載された数を1人に各項1つとカウントし、全体における割合を示した。個人への感想文は除外した。

【結果】
平成26年度までの8年間に317人分の感想文を得た。講義への否定的な意見はなかった。「知識の習得」は98.7%で道具や障害者への接し方など初めて知ったという記述が多かった。「体験より得た気づき」は65.6%で不自由なことへの不安や理解、声かけの大切さが、「視覚障害者のイメージ」は56.4%で、点字が速く読めることへの称賛や心の強い人であると尊敬する意見もみられた。しかし可哀想という意見もあった。「行動の意欲」は53.9%で困っている人には声をかけたい、人の役に立つ仕事に就きたい、強くなりたいという前向きな意見があった。

【考察】
この講義で視覚障害者への接し方や道具などの新しい知識を提供できたことは、感想文から多く見受けられた。自らの視覚障害体験では、我々が提供した講義以外の気づきも伺え体験型の学習が有効と思われた。そして意識の変化、今後の行動への具体的な提示がみられ、この講義が効果的であったと考える。この記憶が定着しているかの経時的な変化も今後の検討課題である。
このような講義を学校で行うには、多くの人の協力が必要であり、システムで行うかについて前向きに検討する必要があると考える。

【結論】
視覚障害に関与する多職種が小学生に講義をすることは有意義であった。

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