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特集演題
FL-1-1
眼科医と教育連携
Change and Union

○松久充子
医療社団法人橘桜会さくら眼科

平成元年の開業時から学校保健に携わった。当初は就学時健診や小学1年学校健診で弱視を発見していた。就学後の弱視治療は中断しやすく、臨界期(7歳)をはるかに過ぎて発見されることもあった。このために静岡市教育委員会(市教委)に就学時健診や小学低学年の視力不良は弱視の疑いがあるとの啓発を行った。学校保健安全法の対象は園児も含まれているので、市教委の協力を得て平成13年から公立幼稚園の視力検査を開始した。徐々に対象を広げ平成22年には静岡市の公立・私立の全幼稚園・保育園・こども園で視力検査が実施されるようになった。平成27年には三歳児健診に政令指定都市で初の他覚的屈折検査を導入した。眼科医と市教委の連携に始まり保育課・こども未来局・健康づくり推進課等との連携の和が広がって弱視の早期発見早期治療が可能になった。
弱視が早期発見されるようになるとロービジョン(LV)・学習障害(LD)・発達障害児も早期発見されるようになった。
LV児には早期からの「見える」体験が重要である。就学前にロービジョンエイドの使用を開始したい。幼児期~就学(視覚特別支援校や通常学級)後~就労に至るまで、眼科医と視覚特別支援学校が緊密に連携して補装具・学習用具・ICT支援機器の選択と使用法の指導を実施して学習を支援することができる。
LD児は読み書きにICTを活用して「わかる」ようにすることで学習の遅れを回避することができる。ICTを使用した予習・復習・宿題・読書ができるようにして後、授業や受験での使用につなぎ、社会生活でも活用させる。
発達障害児は感覚運動統合が不得手なことがある。幼児~小学低学年には衝動性・追従性眼球運動が円滑でないことから推定できる。発達を促す遊びを奨励し、教師が子どもの多様性を理解し叱責を繰り返すことがないように理解を図る。
眼科医は子どもの「見える」「わかる」「理解される」を手伝って未来を担うための学習をサポートすることができる。

【略歴】
1981年 日本医科大学卒業
1983年 浜松医科大学眼科学教室助手
1985年 国立静岡病院眼科
1988年 医療社団法人橘桜会さくら眼科院長
2014年 静岡視覚障害福祉推進協議会会長
厚生労働省視覚障害者用補装具適合判定医師・日本医師会認定産業医・日本糖尿病協会糖尿病療養指導医・日本眼科学会認定眼科専門医日本眼科医会学校保健委員・静岡市静岡医師会園医学校医委員(学習障害児の支援委員)・静岡市学校保健会評議員・静岡市保健所運営協議会委員長

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