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口頭発表Ⅱ
O-2-4
視覚障害者に望まれる音声ATMのテンキーによる振り込み操作方法の調査

○豊田航(1)、高桑智史(1)、比企直樹(1)、鈴木邦和(2)、細野直恒(3)、赤津裕子(2)、大倉元宏(1)
(1)成蹊大学、(2)沖電気工業株式会社、(3)沖コンサルティングソリューションズ株式会社

【目的】
視覚障害者団体から、テンキー付きハンドセットが搭載されたATM(以下、音声ATM)による振り込み取引が望まれている。本研究では、将来音声ATMの振り込みシステムを設計する際の参考データを得ることを目指し、視覚障害者から経験上望まれる音声ATMの振り込み操作方法を明らかにすることを目的とした。

【方法】
視覚障害者14名(全盲13名、ロービジョン1名;47.7±17.0歳)から協力を得た。調査参加者に対して、音声ATMの利用状況、振込ニーズ、音声ATMやICT機器等の利用経験上望ましいテンキーによる振り込み操作方法を半構造化面接によって聴取した。

【結果】
参加者の半数が音声ATMを月1回以上の頻度で単独利用し、14名中13名が同様の頻度でガイドヘルパー等の代行で利用していた。普段振り込みを行う方法は、代行によるATM(14名中7名)、ネットバンキング(同5名)、窓口(同1名)、振込しない(同1名)であった。14名中13名が音声ATMによる振り込みを望んでおり、主な理由としてプライバシーの保護、自力で取引できる、振込手数料が安い等があげられた。
経験上最も望まれる振り込みの操作方法は、「トグル入力」(14名中12名。例:「え」は1番キーを4回押して入力させる)、「番号入力」(14名中2名、例:取引項目とその対応番号を入力させる)であった。また、最も良い操作方法ではないものの、テンキーの2、4、6、8番を十字キーとして割り当てる「十字入力」(14名中12名)も挙げられた。

【考察】
タッチパネルによる振り込みでは、金融機関の種別入力、名称入力、最終決定の3つの操作段階がある。音声ATMでもこれを踏襲するならば、各操作段階においてトグル入力、番号入力、十字入力のどれがユーザビリティ上適しているのかを明らかにする必要があり、現在評価実験を行っている。

【結論】
視覚障害者によって経験上望まれる振り込みの操作方法として、トグル入力、番号入力、十字入力が挙げられた。

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